Phénix Hirondelle / フェニックス イロンデル

Phénix Hirondelle france

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Model: Hirondelle Type RP – Make:Phénix
SuperHeterodyne AM,LW,SW1.5~5Mhz AC110~240V Made in France


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フェニックス製イロンデル、フランス語でツバメという意。
モスグリーンの鉄製パネルとマホガニー材の丸みを帯びたオールドヨーロッパなデザイン。
今回の修理は電源が入らないということでお預かり。


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シャーシを筐体から抜くため隠しネジを探す。
知っていれば簡単なのだが、気が付かないと永遠に判らない仕掛け。
隠しネジや隠し留めは外し方法判らなくて壊されてしまっている例は沢山あるので注意したい。


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シャーシを取り出す、ものすごく錆びている!
これは自然錆ではなく、オーナーのお住まいが海辺にある為の塩害である可能性が高い。


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故障原因は直ぐに特定できた、電源トランスの焼損である。一次側に導通なし。
焼けたというか、ここまで来ると発火した可能性もあるレベル、よく火災にならなかったなと思う。
トランスのタップは1次側が110V 125V 145V 220V 245V 二次側は焼けて読めないので推定 4V 6.3V 250~270V
フランスでは220Vを使用するのだが、輸出も考慮して様々な電圧に対応できるよう入力側のタップは数多く作られている。

トランスから出ている青赤線はプレーヤーモーターへの電源。 100V50Hzのコンセントから110Vのトランスへ繋ぎ、145Vのタップから110V60Hzのモーターを回しているのである。 これでドンピシャの回転数に合うはずはないのであるが、プーリーの径を調節することで解決しているのだと思われる。


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トランス焼損はたまに見る事例だが、ここまで見事に焼けたのは今回初めて。
被覆は全焼、鉄心も見事に焼けているし、一緒に付いていたコンデンサーは破裂しており、火災にならなかったのが不思議なくらいの燃え方。 筐体内のトランス下は高熱で溶け出た絶縁材のワニスがベッタリ。
絶縁不良を起こした古い電気製品が火災に至ることは決して稀ではないので注意したい。


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焼けたトランスの替わりに購入した真空管用のトランス。 秋葉原ノグチトランスで入手。
オリジナルは110Vのトランスを100Vで使用していたので若干の低電圧ぎみだったのだが、
今回からはトランス交換でジャストの電圧にできるので十分な電力を供給することができる。
また、オリジナルのトランスと違い片面が蓋のタイプなので耐塩害も期待できそうである。


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上は交換前、下は交換後
今回の問題。  当セットの真空管配置はECH42 EF41 EAF42 EL41 EM34 でありヒーター電圧は全て6.3Vなのだが、整流管のAZ41だけがヒーター電圧が4Vなのである。 さぁ困った・・・・・ 5Vや6.3Vタップのトランスなら普通にあるのだが、4Vと6.3V
などという変なトランスはたぶん日本の既製品では存在しない、こういう所がヨーロッパ製の泣き所。 たった1Vの違いだが、4V球に5Vをかければただでさえ負荷の大きい整流管に良い筈はない。
しかしその問題解決法はこのラジオ自身が持っていたのを発見する、 整流管AZ41の替わりに何故かAG41(ヒーター電圧は5V)が既に挿さっていたの である。 恐らくは以前になんらかの理由で整流管が切れてしまったものの、同型の替わりが無かった為にAZ41よりヒーター電圧の高いAG41を入れたの ではないかと推測する。 いずれにしても怪我の功名というか、おかげで整流管を5Vにすることができたのでトランスを特注する羽目にならずに済んだ。


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レコードプレーヤー部分の全景 下はターンテーブルを外した所。
ゴムのプーリーでテーブルの円周を回す方式、旧いプレーヤーは殆どこのタイプ。


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ターンテーブルの裏面、モーターを観察する。
モーターは旧いタイプのプレーヤーとしては最も一般的に使われる隈取モーターを使用。
電源は120Vと240Vに替えられるよう2コアになっているタイプ。


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しかし電源を入れるもターンテーブルは回らない。  最初に手で勢いをつければなんとか回るのだが、自身のトルクで起動することができなくなっているので 分解してみる。 原因は回転軸のズレと錆だった。 このモーターはコアと回転子の間隔が非常に狭い為、僅かなズレでも接触が起きて回転不良を起こしやすい が、逆に構造が簡単で調整も効く為、整備すればいくらでも使えるところが良い。
ちなみに、このモーターが隈取と呼ばれるのは鉄心にある補助コイル(4本の太い線)が歌舞伎の化粧の隈取りに見える所から由来する。


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アームの拡大図 アーム先端には針が2本付いており、ヘッドを左右に傾けることでそれぞれの針に切り替えることができる。


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レコード針の拡大図 左側の針は幅広でSPレコードに使用し、右側の針は狭角でLPもしくはEPに使用する。


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上は針のサイズとレコードの盤の関係を記したもの。(日本ディスクライブラリーの冊子、初心者の為のステレオガイドより)
下は回転数確認用のストロボ円盤。 昔は製品としてアルミ製の板で販売されていたが、頻繁に使うものでもないので今回はFIDELIXのWebからダウンロードしてプリントアウトしたものを使用。
グロー式の蛍光灯下でこの円盤を回すと回転数がぴったり合っていれば人間の目には縞々が止まって見え、進んでいれば時計回り、遅れていれば反時計回りに縞々が動いて見える。
白熱電球、インバーターLED電球、インバーター蛍光灯などでは見えないので注意。
探すと最近は旧式の蛍光灯は意外に少なかったりする。


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写真上はアームの根本にあるストップ位置調整レバー。 レコード再生が終了し針が最後のレール位置にまで行った際に自動でターンテーブルを停止する位置を調整する。
写真下はターンテーブルの回転数の切り替え 33 1/3がLP盤、45がEP盤、78がSP盤。
0位置はプーリーがターンテーブルから完全に離れるので通常は使わないが、ターンテーブルを外す際に使用する。


再生が終了し自働的にターンテーブルが停止する様子を撮影。
ちなみに盤はNHK落語名人選から古今亭志ん生の”火焔太鼓”
ラジオで聞くのとはまた違った音色で良いです。


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サーモグラフィーによるプレーヤー使用2時間後の温度分布確認、外気温は30度。
上下の写真はカメラが違うだけで同じ部分を撮っています。
整流管と出力管が白く写り非常に高い温度を保っていることが判る(100℃以上)、それ以外の球は赤く写り低熱ということで極めて正常。モーターは40℃程、トランスは45℃と異常な発熱は発生していないことを確認。
再び同じ事故が起きぬよう、今回はヒューズを増設したので万一異常加熱しても電気は切れるようになりました。


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フランス製レコードプレーヤー付き真空管ラジオ イロンデル
これにて修理終了です。

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