SILVERTONE No.4212

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ラジオとは思えないお洒落な肩掛け鞄型ケース。

昔はトランジスタラジオでも高価だったのでケースやカバーがあったのだが最近のラジオは安すぎるせいかそういうものは皆無。

ケースから出してみる。

小さいとは言っても奥行きは5センチくらいある。

裏蓋はネジ2つ、シャーシもネジ2つだけで止まっている。

開けると単2電池と細身の45V電池があり、中はぎっしり詰まっていて結構重い。

重い割には筐体は非常に薄いプラスチックかベークライトの様なもので出来ていて華奢。

裏蓋には真空管の配置が記されている。

皮ケースの内側にはTop grain cowhideのハンコ。

このラジオは使われた形跡がないので非常にきれいであるが、大抵のポータブルは電池の液漏れ跡があるものが多くこのような裏蓋の紙は残っていればマシな方で、とにかく汚れているのが普通である。

それにしても昔の電池はよく漏れた。

最近はそういうのが少なくなってきましたが、それでも電池は入れっぱなしにしたりはしません。

そしてこれから下に続く別の同型機は、漏れ電池を何年も入れっぱなしにした結果、グズグズになってしまったラジオを修理してゆくという日記につづく・・・。

錆まくりポータブルレストア日記

実はこれがフリマで最初に入手した方のラジオ。

最初に見つけた時はポータブルというだけで珍しさのあまり購入してしまった。

しかしこのサビサビである。

入っていた電池は崩れて原型無くなっていた。

これをなんとか鳴らすことにするのだが、これが泥沼の始まりであった。

なんか土中から掘り出したのかと思うほどシャーシは真っ赤っか。

とりあえず部品はシャーシから外してみる。

出してみると裏は想像以上に広範囲に侵食されていて”見なかったことにしようかな”と思うくらいだった。(笑)

トランスの枠はグズグズ、電池の押さえ板の絶縁物は膨れ上がりスピーカーのボイスコイルは漏れた液が付いて固着している。

シャーシを外したあとの箱だけの状態。

スピーカーの前の布はボール紙をテープで留めてあるだけだが、これでオリジナルの状態。

なんというか雑である。

裏蓋の説明書はご覧の通りの惨状。

こうなってしまうともうどうにもならない。

トランスの枠はついているだけという状態でシャーシから外れて浮いてガタガタ。

トランス枠は使い物にならないので捨てた。

幸いにもトランス自体に断線はなかったので枠を自作する。

模型屋で買ってきた真鍮の板を枠に加工するわけだが、コの字型があれば最高だが、ぴったりのサイズの棒ってなかなかないのでL字型で我慢する。

半田で脇をくっつけて完成したトランス。(左)

シャーシに留める足を作る為にまだ下部は切断していない。

右はシャーシに付けた状態のトランス。

綺麗に収まった。

電池の押さえ板もボロボロだったができるだけ捨てたくなかったのでサンドブラスターで錆び取りを行う。

しかし素材が薄いのでサビを取ったらぺらぺらになってしまった。

実際、折れる寸前。

スピーカーはブラスターを使うとコーンが破れるのでリューターでこまめに錆び落とし。

困ったのは固着しているボイスコイル。

さすがにスピーカーを分解するわけにいかないので壊す覚悟でボイスコイルを指で強くおして無理やり動くようにした。

コイルとマグネットの間には粉になった堆積物があるので、それはエアで飛ばした。

幸運にもスピーカは蘇ったが、こんな強引な方法はあまり人には勧められない。

シャーシから部品を外してこれもブラスターをかける。

真円のいくつかの穴は元々開いていた穴だが、それ以外の歪な穴は腐食でシャーシを貫通してしまった錆穴。

ちょうどこの上にバッテリーがあったのでここの腐りが最も酷かった。

錆びはなんとか取れはしたものの、シャーシは月面のようなアバタな出来になってしまった。

このままだと再び錆びる可能性があるので穴は半田で埋めて早々にペイントしてしまう。

このラジオに乗っていた真空管。

左から 1AG4, 1V6, 1U5, 1T4。

電池管ラジオというのを知ったのはこのラジオが最初だったが、サブミニチュア管の存在を知ったのもこれが初めてだった。

右写真はシャーシから外した部品。

IFTも侵食で下部が腐っていたので削った。

シャーシに部品を戻す、これが非常に面倒であった。

何しろ非常に狭い所にごっそり詰まっているので気をつけないと部品の足がシャーシに触れてショートするので大変である。

シャーシも錆で痩せて強度不足なので無理も利かない。

ここでシャーシに真空管を戻す。

この瞬間がラジオをレストアしていて一番楽しい時である。

左が完成した状態。

右はバラす前の状態。

バラす前のアンテナは(写真右)テープが巻いてあるのだが年月でテープに粘着性などなく、塩昆布の様になっていた。

腐りまくった単二電池が入っていた場所の錆び取り前と後である。

一見綺麗に仕上がってはいるが、サビ取りで恐ろしく材質が痩せてしまったためにあまり良い状態とはいえない。

実際のところ、使うことを考えたらシャーシは構造が簡単なので作り直した方がレストアするよりもずっと楽であった。

ポータブルを持つ上で避けて通れない難問が電池である。

なにしろ45Vとか67Vなのでこんな特殊な電池を在庫する所などほとんどない。

ちょっと前までは秋葉原のガード下で販売されていたが最近は全然みなくなった。

今、日本でこの電池を買おうとするといったいどこで購入できるのだか・・・・。

余談ですが006Pを3つ直列に繋いでもこのラジオは鳴りました。 意外に低電圧でも動作することにびっくり。

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