久しぶりに突っ込みどころの多いラジオがやってきた

 

 

まず正面を見る。

大きな真鍮製のダイアルが目立つ。

真ん中のネジ頭が丸出しなのでセンターキャップをなくしたみたいに見えるがこれがオリジナルな状態。

そしてこの重い本体を支える細いスタンド、全体的にこの宝飾っぽいデザインは女性ユーザーをターゲットにしたと思われると思うが如何か。

 

 

ラジオの脚は折りたたむとこのような形↑になるのでこの状態でラジオを正立させることは不可能である。

こうしてみると脚というよりは取っ手のようにも見えるが脚である。

スピーカーグリルは3mmほどのビーズ玉を数珠繋ぎで作ってあり、とても豪華な造り。

しかし、この華奢なビーズは天板まで行っているので逆さに置くと、1.1kgという重量も相まり壊れる可能性が大なので倒立状態で置くことは危険である。

 

 

脚部分の拡大。

この重いボディを支える脚は意外に華奢、しかも開き幅が本体の幅と同じなので倒れやすい。

倒れると重いので割れやすい。

倒れないようにと逆立ちさせると柔いビーズグリルの方が割れそうになるという、なんでこんな構造にしちゃったのか不思議なデザイン。

また、真鍮部分は金色でキラキラしており、スピーカーグリルは白ではなく真珠色なので派手である、とてもラジオっぽくない。

 

 

内部の特徴としては通常のポータブルでは1個しか使われない集合回路が2個使用されている。

そのため部品点数が非常に少なく中身がすっきりしている。

シャーシは銅製、銅は熱伝導率がよいので発熱する機器にはとてもよい材質だが、電池管はほとんど発熱しないのでオーバークオリティであり、銅は鉄より柔らかいのでシャーシの肉厚が増し、それがまた重量過多の原因の一つになっている。

 

 

ちなみにこのシャーシはプラスチックカバーだけ外すとケースからそっくり取れる。

一切ネジ等でケースとは繋がってはおらず、電線も外す必要ない。アメリカ製ポータブルには多い構造。

 

 

使用されている真空管は1AJ5, 1AH4, 1AG4, 1V6で全てWestinghouse製。

1AH4だけシールドがされている。

 

 

無駄を思わせるほど肉厚な真鍮製フレーム(一番厚い部分で4mmもある)、そして銅製シャーシ。

折角のポータブルをここまで重くしてしまうと意味がないだろうと思うが、ズッシリと重い方が高級品としての存在感はある。