日本製真空管ポータブル / JAPANESE PORTABLE TUBE RADIO

 

ポータブルの欠点 - 壊れると修理大変です、電池ないです。

ポータブルの長所 - 場所とりません、感電を気にせず冒険ができます。

しかし欠点も長所に思えるようになっていたらもう終わりです。(笑)

 

 

NATIONAL UA-120  1957年 5球 当時価格16800円

ナショナル製真空管ポータブルとしては最高級及び最後の製品。

中波の他、短波 3.2~7 MHz、 7~12 MHzの3バンド。
高周波増幅を装備しているため真空管式としては抜群に感度が良い。

電源は単一乾電池1本と積層乾電池67.5Vの2種類を使う、もしくはコードを接続しACにより動作させることも可能。

大きさはB5サイズと大きく、重量も電池込みで約2.5kgと結構重い。


 

HI.FI RADIO Co. Model O-1 年不明 4球

スピーカ無しの4球スーパー、バリコンが3段なので高周波増幅付きポータブルと思われる。

それで名前がHI-HIGHなのだろう。

そして会社名はHI.FI、 紛らわしい。(笑)

電源スイッチは無く、イヤホンを挿すと電源が入る仕組み。

音量は右上の赤いダイアル、選局はパネルの赤い玉をスイングさせるという面白いデザイン。

上部にイヤホンジャック、左側にアンテナ入力がある。

ケースはタバコ箱二つ分くらいのサイズなので結構小さい。

電池は45V積層+単二乾電池。

 

回路図

 

NATIONAL UW-285 年不明 5球

ポータブルとしては珍しいマジックアイ付き。

外部AC入力、外部ロッドアンテナまで装備した豪華版ポータブル。

ただし、豪華になりすぎて結構重かったりする。

マジックアイ動作は通常のマジックアイ付きラジオと逆で、同調すると光面が少なくなる。

また、同調時の光面の大小は電波の強弱に比例するため、同調しても入力が小さいとマジックアイの変化も小さい。

電源はAC100-117V 又は単一乾電池1本と67V積層乾電池。


 

NOVEL DEMPA RN-4B 年不明 3球

横長なプラスチック製ポータブル。

真空管はTEN製、A電池は45V、B電池は単二を1本使用。

イヤホン専用ラジオなので非常にシンプルな構造。

 

回路図

 

無名 年不明 4球

銘がない名無しのラジオ。

色はクリームで手さげの付いた4球スーパー。

A電池は単二を1本、B電池は67.5Vを使用。

シャーシ形状がナナオラの4P-38と同じなので実際にケースとシャーシを入れ替えてみると見事にはまり、ネジ穴も全て同じ所に来る。

おそらくナナオラ製と思われる。

 

回路図

 

WALES B-46 年不明 4球 当時価格4980円

きれいな緑色で細長いプラスチックボディ、大きい選局ダイアル。

真空管はTEN製、B電池スナップにはTOKAIMUSEN(東海無線?)と彫られている。

A電池に単二を1本使用するが、この電池ボックスは針金のような細いスプリングでマイナス極を押さえているだけの簡単なつくり。

真空管のソケットはベークライト基板と一体モノであり、ポータブルとしては珍しい造り。

全体的には非常に廉価に造られた感じがするものの、合理的な設計とも思える。

 

回路図

 

CROWN PR-530  1956年 4球 当時価格5600円

肉厚なプラスチックケースで造られたポータブル。

このラジオの特徴はケース内に収められた豆電球とケース外部に付けられたソケット。

非常の際はラジオ内部から豆電球を取り出し、外部ソケットにはめて懐中電灯とすることができる珍物。

ラジオとしても非常に良い出来である。

真空管は日立製、電池は単一を1本と67.5Vを使用。


 

SHARP 3B-38  1955年? 3球

表側はSHARP、裏面はHAYAKAWA ELECTRIC Co.とあるシャープ製イヤホン式ラジオ。

筐体、中身共に白砂電機のPC-200に酷似している。違う点はイヤホンのジャックの有無だけ。

真空管はTEN製、それ以外の部品のほとんどにSHARPの刻印又は印刷がある。(電池のスナップに至るまでSHARPとある)

選曲ダイアルを留めているネジは赤色の七宝焼き。

電源は単二と45V積層が各1個。

 

回路図

 

MANHATTAN 型不明 4球

ポータブルとしては珍しいパイロットランプ付きラジオ。

ランプはA電池から電気を取っているのでヒーター電圧の低下を教えてくれるが、同時にそのランプが余計な電気を消費してるような・・。

しかし不思議なことに回路図にはランプが付いている旨の記載がない。

これ自体は改造品ではないので恐らくこのモデルにランプ付きとそうでないのがあるのかもしれない。

なお、このラジオには製造会社の表記がない。

IFTはナショナル製、真空管は日立製、ポータブルとしては感度も良く出来はまあまあである。

電源は単一1本と積層67.5Vを1本。

 

回路図

 

STANDARD SR-100 1954年? 3球

スタンダード製3球スーパー、MT管ポータブルとしては最小の部類のラジオ。

スピーカーがなくクリスタルイヤホンのみで使用する。

この種のイヤホンだけで聞くラジオはジャックが特殊なのでオリジナルのイヤホンを持っていないと使い物にならない。

電源は単三1本と積層45Vを1本。

 

NATIONAL 3B-267A 1955年 3球

大きさ、構造ともにナショナルUB-140と同じであるがこちらの方が廉価版という感じであり比べるとデザインが安っぽい。

しかし中身はこちらの方が充実している。

デザイン以外の違いとしてはアンテナ端子がついていること、単二の電池ボックスが丈夫に作られていること、その他には回路がほんの少しだけ違う。

電池は45V積層と単二電池1本。

ラジオに付属している説明書は


NATIONAL UB-140  1954年? 3球

これは非常に小さいポータブルでありタバコの箱横に2つ分くらいの大きさである。

ポータブルとしては最小の部類。

スピーカーは付いておらずクリスタルイヤホンでのみ聞くことができる。

さすがにメーカー品はデザインが凝っている。

電源は45V積層と単二を1本。

構造がちょっと面白い。


 

NANAOLA 4P-38  1954年? 4球

薄青色がとても美しいナナオラ4球ポータブル。

上部には手提げハンドル、右側にはボリウム、左にはイヤホン用の四角いジャックがある。

全体的にとても丁寧な作りである。

真空管はマツダ、コンデンサーはニットーチクデンキ。

電池は積層67.5Vと単二電池1本。

ちなみにこのナナオラは新品。

普通の真空管ラジオの新品にはあまりお目にかかったことがないがポータブル真空管ラジオは時折こういうモノが出没する。

ポータブル式は同時期にトランジスタラジオが発売され始めたこともあって販売的には短命となってしまい、また高価だった為にその多くは輸出品として主に外国で販売された。

たぶん売れ残ったものが引き取り手のないまま死蔵され時々ひょっこりと出てきたりするのだろう。

 

回路図

 

最近になって再び色違いの同じものを入手、しかもまたしても新品だったりする。

病気は深まるばかり・・・・・

 

SHIRASUNA GW-3672  1957年 4球

真空管時代の後期に作られた白砂電機のポータブルラジオ。

正面にあるダイアルは大きい方が選局で小さい方はA電池の消費を抑える為の省電力切り替えスイッチ。

音量のVRは選局つまみの横側面にある。

省電力切り替えは電源スイッチを兼ねていて、HIGH, LOW, OFF, EARとなっている。

HIGHで通常、LOWでA電池によるフィラメント電圧が落とされ、EARでは更に電力増幅のフィラメントの電気が切られる仕組み。

当時は電池が高価だったのでこういうものも必要だったのかもしれない。

ちなみに受信しているときにHIGHからLOWに切り替えても音量そのものはほとんど変わらない。

サイズは日本製ポータブルにはして奥行きは6cmとかなり厚い。

IFT、バリコンはSilverのマークがあり、真空管はTEN、コンデンサーは日本ケミコンのブランド名が見える。

このモデルは当時としては高級な部類であったと思われる。

電源は単一が1本、45V積層が1本。

 

裏蓋

 

SHIRASUNA SILVER PC-200 1962年? 3球
当時価格4800円

COPIT PC-200

SILVER PC-200

 

白砂電機製ポータブル。

ポケット等に入り易いよう角は丸くなり厚みはぎりぎりまで薄くされスピーカーも排している。

イヤホンだけの設計なので筐体からイヤホンは抜けないが更に別のイヤホンを挿す為の端子はある。

ただしコネクターは現行のとは違う形状。

SILVERの他に全く同じ筐体同じ中身のCOPIT、STANTEXというラジオがあるがそれらも全て白砂電器製である。

 

回路図

 

CARLTON 年不明 4球

プラスチック製ポータブルAMラジオ。

もしかすると女性のユーザーを意識したデザインなのであろうか、おしゃれであまりラジオらしくないスタイルがまた非常によい。

このラジオは赤と青色の2種類ある。

電池はAに単二、Bに67.5V積層を使う。

回路図のラベルに"Civil defense frequencies 640kc and 1240kc indicate by symbol ▲on dial face"と書いてあるがこれは米ソとの冷戦時代、有事の際に放送施設が敵に破壊されるのを防ぎ、また政府放送の周波数であるらしい。

この年代のアメリカ製、アメリカ向け日本製ラジオにはほとんどこの▲マークが選局パネルについている。

このラジオのダイアルの60と70の間、100と165と書いてある中間に赤い三角マークがみえるのがそれである 。

種類によっては▲マークの替わりにCD(Civil Defenseの略)と書いてあるものもある。

 

回路図

 

COMET 年不明 4球

ケースは極厚の牛革で内張りは厚紙である。

チューニングダイアルを留めているCOMETと銘の入ったネジは七宝焼き。

全体的に紙と皮革と鉄で出来ている。

1960年以前、まだプラスチックが一般的でなかった頃は皮革を使うことはそれほど珍しくなかったようである。

電源は45V積層電池と単一1本、真空管はTEN製

 

回路図

 

GLOBAL Model GR-7100 年不明 4球

小豆色のお弁当箱のようなラジオ。

ポータブル真空管にしては珍しく基板も電池ボックスもベークライトで鉄シャーシがなく、バリコンはなんとポリバリコンである。

初期のトランジスターラジオですらエアバリコンを使用していたのに真空管ラジオでポリバリコンなのは非常に珍しい(写真中央)。

ということは時代的に真空管ラジオとしては最後の頃だったモノなのかもしれない。

バリコンはミツミ製、真空管は日立製。

全体的に軽量なポータブルである。

電池は単二1本と45V積層。

 

回路図