ノベルティーラジオとは受信機としての機能よりも変わった外観を重視して造られたラジオ、主に宣伝物として製作されることが多い。
見た目が奇抜で面白いため、これだけを専門に収集しているコレクターも少なくない。
共和製作所 HOMER MR-3 1970年~75? 日本製
イヤホン式4石スーパーAMミニラジオ。
極小ラジオはどうしてもオモチャっぽい作りになってしまいがちだが、MR-3は基本を押えた造りでしっかりしており感度も音量も申し分ない。
トランジスタは松下、ケミコンはSemicon製、バリコンとIFTはMARVEL製。
電池はボタン電池A76を2個使用。
APO SATELLITE SR-7 & Times Sputnik SR-7 1968年 日本製
形状は世界初の人工衛星スプートニク1号を模していると思われる。
直径11cm程の球体で上部が透明プラスチック、下部は金属製、台座は木目があるがプラスチックである。
球体内部にはカーブを描いたインジケーター針があり、赤が選局で黄土色が音量である。
使用されているトランジスタは日立製だが製造メーカーは不明。
電池は単三4本
メーカー不明 カセドラル型 1970年~80? 日本製
木製カセドラル型AM6石トランジスタラジオ。
全高30cm程なので真空管の当時物と比べるとふた回りくらい小さい。
パーツは全て日本製。
無銘だがシリコントランジスタを使っているので昭和50年~60年くらいの間に作られたものだろうと思われる。
ケースは木製合板だが加工の難しい天井の曲面部分などは丁寧な造りである。
スピーカー部分の布の模様は印刷ではなく刺繍なので、プラスチック全盛の時代としてはそこそこ高かったラジオなのかもしれない。
電池は006P使用
共和製作所 IC-1500 1970年~75? 日本製
1970年代、漫画雑誌の裏表紙には怪しげな通販が沢山あった。
買ってみると大抵は宣伝ほどの中身は無いのだが、それでも当時はとても夢のある商品のオンパレードだった。
当時このラジオは1500~2500円くらいの間で売られていたと思う、そして同じ商品で数種類のラジオが存在していた。
中身はICと称するキャラメル半分の黒い箱、バーアンテナ、バリコン、電池、プラグ。
イヤホンのみで音量調整が無く、また音もそれほど大きくないので屋外だと聞き取りがかなり厳しいが、屋内だと感度がないので受信が厳しい。(笑)
ただ、当時の宣伝には”世界最小”とあるが、もしかするとラジオの形をした製品としては現在でも世界一小さいラジオかもしれない。
サイズは43mmX30mmX17mmであり、9Vの電池とほぼ同じくらいである。
当時子供の私はこのIC?の中身を見たくてニッパーで刻んでしまったが、記憶が定かではないがエポキシに固められたトランジスタと抵抗が数点が出てきたので、たぶんストレート式だったと思われる。
バリコンは14mm角でAMラジオに使えるバリコンとしては見たこともない豆サイズ。
売られ方こそ怪しかったが、ラジオとしては特注パーツばかりを揃えた結構真剣なラジオであったと思われる。
WACO製 Electro Dice Radio 1972年 日本製
サイコロ・ルーレット付きトランジスタラジオ。
とてもラジオとは思えない風貌、というか電子ブロック風。
電子サイコロはPLAYとSTOPのスイッチのみ。
電池式(006P)なのにサイコロ表示にネオン管を使用している。
ちなみにWACO社は車や船やロケット型といった数多くのノベルティラジオを出している。
GUILD製 Model 556 The Country Belle 1956年 5球 USA製
木製アンティーク電話機型ラジオ。
サイズは本物の木製電話に比べると一回り小さいが全長は40cm以上あるのでラジオとしては大きい。
左側のフックが電源スイッチになっており、受話器を上げると選局ダイアルの照明が入りラジオが鳴る。
音量、トーン調整は右側にある木製ノブにて行い、ダイアル下部のクランクを回すことにより選局を行う。
電話機としての見た目は忠実に再現されている。
排熱の為に上部に穴が3つ、下部にはスピーカ用のスリット穴が開いている。
送受話器はダミーであるが鉄製なので質感は本物と変らない。
バーアンテナ式MT5球スーパーなので性能は申し分ないが、壁掛け式は位置を固定されてしまうため選局の際に筐体を回転させることができなくなるのが難点。
木製電話機型ラジオは他社からも出ており、真空管式、トランジスタ式など数種類が存在する。
回路図
GUILD製 TeaKettle 1957年 6石 USA製
一見するとラジオとは思えないヤカン型トランジスタラジオ。
大きさも実際のヤカンとほぼ同じサイズ、本体は木製、取っ手と枠上部に陶器を使用している。
陶器部分は白地で相馬焼風。
蓋の部分は蝶番でつながっていて開けるとボリウムと選局ダイアルが出てくる。
スピーカーは底面にあり、電池は006P型ニッカド。
本来だとコンロ型充電器が付いていたが残念ながら紛失している。
GUILD製 Spice Chest Model 484 1956年 5球 USA製
ヨーロッパ調アンティーク調味料棚を模った真空管セットのノベルティラジオ。
USA製にしては丁寧な造りの木製キャビネット、前面は観音開きドアで下には2つ引き出しがある。
このラジオは扉がルーバー式と平板、または中身がトランジスタ式の3タイプ存在している。
このモデル(484)はトランスレスのAM5球スーパー。
Subsidiary of Buck Engineering Co.Inc. MODEL 702
USA製 年不明 5球MT
壁掛けラジオ。
部品は飾りではなくちゃんとラジオとして機能する、拠って使用中に触ると感電する。
主要部品の周りにはその回路の説明もされているので初心者への勉強にも良い。
サイズは42cmX52cmなので結構大きい。
真空管は日本製、コンデンサ類はアメリカ製。
なお、実際の年式は不明だが真空管以外の部品はかなり近年のモノなので早くても1970年以降の物であると思われる。
あとなぜかバリコンとバーアンテナ、OSCコイルだけベークライト基板に乗っている。
この部分だけデザインぶちこわし。
ちなみに兄弟モデルでトランジスタ式の壁掛けラジオもあったが残念ながら写真がない。
GENERAL ELECTRIC Model P2760C 年不明 4石AM 日本製
ゼネラル・エレクトリックのノベルティラジオ。
パトライトのようなデザインでライトのスイッチを押すと内部のランプが光る。
筒の中にラジオの部品のようなものが見えるがそれはダミーで実際のラジオ基盤はその下にある。
ラジオとしての機能は100円ラジオと同程度というか、おもちゃの様な感じである。
電源は006P
GENERAL ELECTRIC Model T2365A 年不明 9石AM, FM 香港製
GE製パトライト型AM, FMラジオ。
ノベルティラジオにしては珍しく電池の他にACも備えている。
上部のボタンを押すと真ん中の日付と曜日のフリップが回転する。
音量と選局は左右の銀色の枠を回す。
このラジオの構造的に面白い点は左側はAM、右側がFMと基板が独立していること。
それならスピーカも左右2つ付ければ良かったのに何故か片方にしかないのが惜しい。
電池は006P使用。
調味料ラック型ラジオ 年不明 6石AM 日本製
ラジオ部分はネジを外すと引き出しの様に出てくる。
裏にフックがあり壁に吊るして使う。
壁に掛けられてしまうと本体を回転させられないので受信に制限が出てしまうが、ラジオはオマケのようなものなのでこれはこれでよい。
瓶の中は実際に調味料とかが入っている。
スピーカーが1つのモデルと左右2つあるモデルとある。
電池は006P使用。
メーカー不明FMラジオ
メーカー、モデル名、年代等全然正体の判らないラジオ。
金属のケースは銀メッキなので磨いていないとすぐ黒く酸化してくる。
ケースは相当の肉厚があるせいか見た目以上に重い。
ただ、ボタン式選局なので決して古い製品ではない。
受信はFMのみ。
デザインが妙なのだが、これは一体何がモチーフなのだろうか?
電源は006P
PANSONIC PANAPET R70 1970年 7石AM
これは昔流行ったラジオ、パナペットである。
全て丸が基本のデザイン。
昔の広告などで紹介されている物を見るとズボンのベルトとかにリングを付けてぶら下げて持ち歩くとあるが、実際やってみると歩くのに結構邪魔。
この球形シリーズには丸テレビもあったらしい。
色は白、赤、青、緑、黄色の5色がある。
電池は006P使用。
PANASONIC Model R-77 1976年 6石AM 日本製
パナソニック製のカレンダーラジオ。
左側にあるダイアルを回すことによって曜日の欄が回転する。
ケースはプラスチックで表面はアルミニウム板、中身はごく普通な造りだがゲルマニウムトランジスタが4つ、シリコントランジスタが2つという混成ラジオ。
基板はプラスチックのツメで押さえてあるだけで、スピーカーを留めている所以外にはネジは使われていない。
電池は単三を2本。
CROWN HT-430S 1965年 日本製 6石AM
貯金箱型ラジオ。
コインの選別機能はないので硬貨を入れたら鳴り、ボタンを押すとOFFになる。
ただし入れる硬貨は10円玉のように電気の導通性がある硬貨でないと鳴らない。
箱は木製で出来は非常に凝ってあり丁寧な作りになっている。
硬貨取り出し口にはちゃんと鍵もかかる。
電池は006P使用。
CROWN HT-460 1966年 日本製 6石AM
宝石箱型ラジオ。
貯金箱型もそうだが、CROWN社にはこういうシリーズ物があったのかもしれない。
ちなみに箱の中はラジオ基板も納まっているのでジュエリーそのものは大して入らない。
蓋を開けるとラジオが鳴り出し閉めると止まる仕掛け。
箱は木製で表面にニスを塗られ更に上から蝋を薄くコーティングしてあり非常に丁寧に作られている。
電池は006Pを使用。
Qooのお風呂ラジオ 製造国不明 2石1IC AM、FM
コカコーラ社から発売されている清涼飲料Qooの景品として配られたラジオ。
販促品なので基本的に非売品。
シャワーヘッドがアンテナになっている。
電源を入れると”クー”と鳴いてから受信を始める。
ラジオ基板に限って言えば2石+ICなのだが”クー”と鳴く部分の為にラジオとは別に音声メモリー用ICが基板裏に付いている。
ラジオ自体は100円ラジオと同等だが外見は感心するほどよく出来ている。
電源は単四を2本。