今回は時計も分解します

 

本体正面と基盤。

ラジオも金ブチ時計が付くと高級感が増して見える。

上部に付いているスイッチはアラームのON-OFF切り替え。

 

 

文字板の赤い三角がタイマースタート時刻、枠三角がエンドの時刻、タイマー時刻は風防を回して設定する。

ゼンマイ巻きと時刻設定は上部の竜頭にて行うが、非常に回し難いので常時これを巻いていた人はあまり居ないと思われる、恐らく目覚ましとして使いたい時だけ巻いたのではないだろうか。

スピーカーグリルの真ん中にはSの字のエンブレムがついているが、小さすぎてデザインされたものとは気が付き難くい。

私は剥がれたエンブレムの残骸だと思っていました。(笑)

 

このラジオ、数的には決して少なくないが、時計がちゃんと機能する個体があまり多くない。 それは時計がヘボなのではなく、修理者に弄り壊されることが多い為である。

なので時計修理経験の無い方は時計部分の分解はしないことをお勧めします。

電気製品と違い、時計パーツは簡単に壊れますし、一旦壊すとほぼ元には戻らず、交換パーツもありません。

また、工具も専用でないと分解できません。

ムーブメントとしては大したことのない時計ですが、TRW-621 というラジオにとっては命です、無闇に開ければ必ず壊れますので決して無謀なトライをしないようお願いします。

今回はあくまでも時計内部を見せるというのが趣旨であり、決してオーバーホールの方法を説明している訳ではないですので詳細は記載しません、ご理解ください。

 

 

時計部分だけを外すとこんな形です、ムーブメントはTRW-621専用ではなく腕時計用を流用しています。

時計裏側の竜頭近くにあるマイナスネジが巻真(竜頭の軸)を外すネジです、ただしこのネジは巻真が取れるところまでちょびっと緩めるだけで、絶対に回し切ったり抜いたりしてはなりません、取ったら最後、中の押さえが取れるので全バラしの羽目になります、しかもこのネジ、極めて短いので半回転くらいで抜けなかったらそれ以上は回さないのが吉。

下2個のマイナスネジはタイマーの接点、半透明の盲蓋を外すと微調整のアジャスターがある。

 

 

風防とタイマーダイアルを取ったとこ。

この時計は風防にタイマー円盤がはめ込まれているため、普通に外そうとすると円盤やら針が引っ掛って取れません、気が付かないで力で抜いてしまうと針も円盤もグニャグニャになって壊れます。

タイマー円盤の裏についている金属盤がタイマーの接点です。

 

 

とりあえずゼンマイとルビーの付いているとこだけバラして、残りは香箱を避けて丸ごとベンジンで洗います。

全部バラしてもいいのですが、近年の機械は材質が良いのであまり消耗がないですし、ルビーのない部分は分解してもしなくても同じですのでここは大きく手を抜きます。

 

 

丁寧に洗って乾燥ののち、油を付けます、ちなみに腕時計用オイルの粘度はCRC556より遥かに柔らかいですから、間違ってもミシン油とか付けないように。

つける量も針の頭についたかどうか程度で適量、明らかに乗ったと見えたらそれはつけすぎ、油が抵抗になって精度出ません。

本当はオイルなど無い方が時計はスムースに動くものなのですが、油膜が無いと金属が磨耗するから付けてあるようなものなので、決して必要以上付けては駄目です。

 

 

左は文字盤の裏側にあたる部分(つまり表)、右は背部分。SEVEN 7 JEWELSとは回転部分の受け石(ルビー)が7つあるという意味。

これが多ければそれだけ高性能ということになるが、通常の時計であれば21石以上は必要ないと言える。(受ける軸がそれ以上ないから)

21石を筆頭にすると7石というのは少ないように思えるが、通常使う時計であればもう必要十分な精度が出る範囲といえます。