太陽光、手回し式など無電源ラジオは色々あるが、熱発電は世界でもコレただ一種だと思われる。

学研大人の科学から出ても不思議ではないほど科学的要素が高い製品。

 

 

筐体上下を反時計回りにねじると二つに分かれる。 上部には発電素子、下部にラジオ本体。

まずはこの状態からロウソクに点火し、ケースを被せてからラジオをONにする。

筒ガラスはケースから抜けないようなっておりオイルランプのように外れて落とす危険は少ない。

 

 

燃料の蝋粒。

蝋はキャンドル蓋の隙間から投下し補充。

上手く考えられたもので、ロウソクをランプ風にすることで転等による火災や保管時の燃料漏れを防いでいる。

冷間時に白く固まっている蝋も、点火すると芯から伝わる熱でみるみるうちに溶けていく。

蝋芯はグラスファイバー製。

 

 

スピーカは底部に設置。

上部マウントロックは発電素子からの給電コネクターを兼ねている。

極性が決まっているためケースは逆向きには装着できないようになっている。

 

 

基台に電源スイッチ兼音量ボリウムと選局ダイアル。

基板はスピーカーを避ける形でドーナツ状に部品が並んでいる。

内部は5石スーパーヘテロダイン。

今時ICを使わないAMラジオは珍しいが、低電圧動作の為の設計と思われる。

 

 

発電素子

近くで見るとピンクと緑、二つの違う金属を合わせてあるのが判る。

無負荷状態で1.3V ラジオ最大音量時で1.08Vを発電。

1V程度の低電圧でスピーカーがガンガン鳴るのはすごい。

ただし冬場は素子の温度が低めになりやすいため、夏季と比べると最大音量時の音質は明らかに冬の方が割れる。

 

 

素子に外炎が当たるようダイアルでランプ台を上下調節できる。炎は遠すぎても近すぎてもラジオは鳴らない。

そういう理由からこの専用の蝋ランプがないと使用できない。

普通の棒ロウソクだと燃えて短くなった時、素子から炎が外れてラジオが止まってしまうので。

 

 

ロウソクは1本でも意外と明るい。

 

 

上部温度を測ると94℃。

湯は沸かせないが鉄皿に茶葉やコーヒー豆を少量入れて乗っけると部屋中いい香り、アロマディフューザー代わりにもなったりして便利。(火事注意)