蓋は表から開ける。

このプラスチックは非常に割れやすくツメが折れやすいので開ける箇所を間違えると悲劇。

シャーシは筐体のスリットに収まっているだけで1本のネジも使われていないので表蓋さえ開いてしまえば容易にシャーシは取り出せる。

 

 

このラジオのマズい所は電池がAもBも特殊な所である。

一見すると単二電池のようだが実は4Vなのである。

しかもよくみると(ラベルに注目)極性が単二電池とは逆についているので、出っ張りの方をスプリング側に入れるというなんとも判り難い電池である。(極性が逆に付いているのは水銀電池の特徴である、もちろん今は製造禁止)

未だに高電圧な積層電池を作っているアメリカでもさすがにこの種の電池はもう作られていない。

 

 

側面にはB電池蓋の他にもうひとつ蓋がある、バリコンのトリマ調整窓である。

道具不要でシャーシが取り出せる構造なのにわざわざここに窓を設けてまで調整する必要があったのだろうか不思議?。

なお、ほとんどのポータブル真空管ラジオは裏蓋あけて電池を交換する方式だが現在のラジオの様に電池用の蓋がついていて電池が取りだせるようになっているポータブルは珍しい。

が、そのために蓋が紛失されている場合も多い。

写真右に見える3色の電線はアンテナである。

屋根のでっぱりの上にバーアンテナが隠れていてる。

緑と黒がバーアンテナで、黄色い線はシールド。

 

 

本体から中身を出してみる。

ラジオの幅はほとんどバリコンの幅に合わせて作られたことが判る。

スピーカーの左側にA電池、バリコンの上にB電池が来る。

箱の中にすきまはほとんどない。

構造は簡単なのだがかなり密集して作られているのでこれを修理することがあったら本当に大変である。

部品を押さえているフレームとスピーカーはかなり肉厚があり重い。

 

 

写真左はシャーシからスピーカーを取った状態。(天地逆にしてあります。)

写真右側はトランジスタ、EMERSON 274の部分アップ。

A電池のスプリングの下辺りに配置されている。

トランジスタはソケットに収まっていて抜け止めなのかダンボールの切れ端で押さえられている。

ソケットに入っているということはあまり信頼性も良くなかったのだろうか、或いはコテの熱にすら弱かったのか?。

当時は製造も歩留まりが悪かったはずで1955年当時でも1個$7-15はしたそうである。

今の貨幣価値なら十数倍。

余談ですが、60年代にこのエマーソンの真空管ポータブルの偽物が出ていた。

ちなみにその偽物とはオールトランジスタ製のメイドイン・ジャパン。

外見はそっくり、というかほぼ同じ。

フリマで現物を見たことがあるのだが残念ながら写真がない。

 

 

このラジオ全般の持病としてスピーカの枠が自然に緑青を吹いてくる所がある。

そのため腐食がスピーカグリルにまで及び、パネルの塗装が剥げて真っ青に変色している個体が非常に多いのが特徴。

スピーカ回りにクッションとして充填されているモノとの相性が悪いため起こると思われる。

これは発見次第充填物の撤去、及び錆びとりが肝心。

 

 

回路図